建築士カトーのヒトリゴト

2007年5月アーカイブ

きのう、ホタルを見に家内と娘と3人で出かけてきました。

家から5分程のところに二ヶ所ホタル見学ポイントがあるのです。(袋井市の掛川市境側と掛川市北部)二ヶ所を毎回ハシゴしてみてきます。
あいにく昨日は肌寒く、地元のおじさんと話をしてみるとやっぱり「昨日今日は寒くて少ないねぇ」とのことでした。それでも、あれだけ飛んでいれば初めて見る人には感激で満足といえるくらいの飛び方だったと言えます。小さな子供達は大騒ぎして「いたいた」と声をあげていましたが、大きな子供達くらいになると、私達大人と同様に神秘的な雰囲気を感じ、皆口数少なく、情景に浸っているようでした。

私達家族は毎年この時期必ず近所で見られるという利点に感謝しながら、ホタルを見に出かけます。1年に1度この時期の短い期間(3週間くらいでしょうか)しかみられないホタルに神秘的感動をもらっています。

私にとって、ホタルは単に「神秘的でいいなぁ」というわけでなく、私には昔から何か特別の物体に思えています。もう何年もインターネット上のニックネームは「ホタル」個人的アドレスも@の前はhotaruです。

2001年東映の映画に高倉健主演降旗康男監督で「ホタル」という映画がありました。
この映画の中の話ですが、人は死ぬと魂がホタルになって逢いたい人ところの戻って来るのだそうです。

このホタルの中に、親父もいるのかな、おばあちゃんもいるのかな、あの亡くなった先輩もいるのかなと、毎回その映画を見てからは、さらに神秘的に幻想的に眺めるようになりました。

いつだったか子供に、「おとうさんは死んだらホタルになって逢いに来るからね」といって、笑われたことがありました。大きな病気に長くかかり治療を続けている私にとって、死はいつも隣りあわせで他人事ではありません。死んでもこうして戻ってこられるならなんと素敵だろうと思うのです。

きのうはあいにく寒く、しかも月明かりがあって(30日が満月です。やっぱり新月が綺麗です)良い状況ではありませんでした。

ホタルは昼間雨が降って夕方になって上がった蒸し暑い夜に沢山でます。
しかも日暮れから9時くらいまでの短い時間帯に盛んに飛び、遅い時間になると飛びが減ってきます。
丁度「昼から土砂降りで夕方パタっと雨があがり、生ぬるい風が吹く蒸し暑い夜」。そうです、幽霊がスーとそばを通り抜けそうな、そんな日がホタルは沢山飛ぶのです。(笑)

それだけに、よけい人は神秘的に感じるのかもしれません。

ホタルポイントの2ヶ所は10分程度の距離で、是非両方をゆっくり見るといいですよ。
近所の方が、椅子を持ち出して座っています。見られるポイントをちゃんと教えていただけます。

袋井側ポイントは道路脇に車を停めて、掛川の方は地区の公民館か何か(暗くて良く確認してませんが)の駐車場があって無料で停めさせてくれます。掛川ポイントの方が広範囲で川の両岸から見られ娘はいいといいますが、どちらが気に入るかは皆さんで判断されればいいでしょう。

ブログで地図公開したいのですが、折角の静かな観賞ポイントを、私が騒がしくさせてしまう一因を作っていけませんので、訪れたい方はこっそり私のアドレスにメールください。
ひとり一人にこっそりお教えします。(笑)その方にルールを守って見てもらいます。(車のライトを付けて奥まで突っ込んでくる人、大騒ぎしている若者が中には居るのです。)
katou@n-house.jp まで、あくまでこっそり?メールください。

きょうは家づくりに全く関係の無いお話しに成ってしまいました。
ただ、いつも設計者、そしてデザインする者は感動する心が必要だと思っています。感受性が強くなければ、他人の感じるところが自分でも感じられなければ、建てる人の立場になって仕事出来ませんからね。

是非、お子さんを連れて見に行き、感動してみてください。

それでは

昨日は本当に暑かったですね。
我が家の花もグッタリでした。
いつも朝6時過ぎには水まきするんですが、日曜日で朝ゆっくり起き、新聞読んで10時頃庭に出てみると春に盛りの花は夏には弱く、グッタリしている花がいくつもありびっくり(笑)、すぐに水をあげました。
今日の我が家の花「ロベリア」
暑さ、寒さの弱い花です。ボール状に沢山の花を付けます。種から育てるのが良いと本にはありますが、芽がか弱いので植え替えで私は失敗してしまいます。今あるのはポット買いの物です。

花H19.5.23 004ロベリア.JPG
ロベリア

 さて、今日は家づくりの雑談をしたいと思います。

家づくりの雑談(1)

最近では、皆さんは家づくりに何を望んでいるのでしょうか?立場柄アンテナを高く立てているのですが、多種多様の時代で区分けするには難しい時代に成っています。

インターネットという手段が普及した為、情報過多の中で、家を建てる人々も、情報という渦の中で漂っているかのようです。

家づくりの各工法も良いと言う人、悪いという人、必ず両意見があります。地震対策にはツーバイが良い、ツーバイでなくてはダメ、重量鉄骨でないと心配、在来木造は地震には弱いと言う人、全然問題ないと言う人、
外断熱が良くて、内断熱が悪いと言う人、その逆の人、
IHヒーターが良くて、ガスコンロが悪いという人、その逆の人、
等々、まさに膨大なそして相対する意見があります。

(ちなみに、なかけんハウジングでは免震住宅は「まもるくん」、重量鉄骨住宅は「どっしりくん」、在来木造住宅は「かをるくん」、健康住宅は「やすらぎ」、杉と塗り壁の家が「こもれび」があります)
(ちょっと宣伝、笑)

そこには、必ず良いところと裏腹に悪いとされる点が存在するのです。しかし、それは悪いと点と言ってしまっていいのでしょうか。
その人、その人で違って来るはずです。

私がお客様とお話ししていて最も困るのは、家を建てる人それぞれ置かれている状況が違い、それよって良い悪いの判断が各人で違っているということです
みなさん今、客観的にこのブログを読んでいる場面では「そうだろうな」と理解していただけると思います。

お金のある方の判断と、無い方の判断
アレルギーがある方の判断と、無い方の判断
自分達夫婦の家を考えている人の考え方と、二世帯住宅を考えている方の考え方

みなさんそれぞれ自分の置かれている状況で、良いと考えるポイントと悪いと考えるポイントが違ってくるのです。

しかし、いざ家をつくる当事者となると、自分が良いと考えていること、良いと判断していることが、当たり前のことで、「世の中の常識でしょ」というようにお話しされれる方が本当に多いのです。(その常識、私から見て少し偏っている常識と思うのですが)

ですから、私は最初に出会ってからしばらくは聞き役徹することにしています。この方の判断基準はどこにあるのか、どこが判断のポイントに成っているのか、それを知るために、家族構成や、収入はもちろん、性格や体調、家へのあこがれがどこにあるのか、等々を聞き出す、感じ取ることに努力するのです。結構時間を掛けて肌で感じるまでお話しを聞きます。

ただし、時々、ダメなことはダメ、良くないことは良くないとほんの一部に私の意見を言って来ます。(聞くだけなく、考え方をしっかり持った人だなと印象付ける為に)
その先に信頼関係が出来たとき、本当の家づくりができると思ってます。

ひとつ付け加えると、世の中あふれる情報に振り回されて、間違った情報をもとに、私達がお叱りを受けることがあります。
施主いわく:「会社の同僚が言ってました」、私:(えっ?同僚はどこで得た情報なの、プロの話より同僚の話の方が正しいの?)
施主いわく:「インターネットの出てました」、私:(調べると、えっ?素人のブログの家づくり体験記の話を信じて、私の話は嘘付いているになっちゃうの?)
などが良くあるんです。(笑い話みたいですね)

是非冷静な目で無数にある情報を正しく判断して頂きたいと思います。

しかし、私がそのお客さんの信頼をまだ得ていないことが、一番いけないことなんですよね。
まだまだ勉強、勉強です。

今日は朝から浜松市では雨が降り続いています。

実は雨の日は、朝起きてホッとするんです。「あぁ、雨だ、今日は花に水あげなくていいから朝ゆっくりできる~」って。
毎日、毎日朝水やりで時間取って朝時間がなくなり大変です。花の話は、また来週にでも写真で紹介しながら、自慢話させていただきます。今日は小さな我が家の庭を紹介。
花H19.5.23の庭.JPG
庭の写真
花H19.5.23の庭2.JPG
アプローチの写真

今週の我が家の小さなお庭風景でした。
今後変化していきますよ。

さて、

今週は、静岡県建築住宅まちづくりセンターの研修がありました。

建築基準法、建築士法が一部改正され、この6月20日から施行されます。

大きく分けて6つの改正ポイントがあります。

1. 建築確認・検査の厳格化◎構造計算適合性判定
◎建築基準法による中間検査の義務付け
◎確認審査等に関する指針

2. 指定確認審査機関の業務の適性化
◎行政庁による指導・監督の強化
◎ 指定要件の強化

3. 建築士等の業務の適性化及び罰則の強化
◎ 建築士・建築士事務所の違反行為等への処分の強化
◎ 建築士による名義貸し・違反行為の指示・信用失墜行為の禁止
◎ 建築士事務所の開設者による名義貸しの禁止
◎ 構造計算による建築物の安全性の証明書発行
◎ 書面交付の徹底

4. 建築士・建築士事務所及び指定確認検査機関の情報開示
◎ 建築士・建築士事務所に関す情報開示の徹底
◎ 指定確認検査機関に関する情報開示の徹底

5. 住宅の売主等の瑕疵担保責任者の履行に関する情報開示
◎ 宅建業者及び工事施工者に対し瑕疵担保責任者の履行に関する説明責任の徹底

6. 図書保存の義務付け等
◎ 図書の保存期間の指定・延長

以上です。

これらが6月20日から施行されます。
私達には大きな改正となっています。

また、「一定の高さ等以上の建築物は建築主事や確認検査機関は指定構造計算適合性判定機関(新設)に構造計算が適正に行われたかどうか判定を求める」。とあります。

一定高さ等とは木造では高さ13m又は軒高9m越えるもの、鉄骨造では地階を除く回数4以上、高さ13又は軒高9m越ええるもの、架構を構成する柱相互間距離が6m超のもの等です。審査機関で適合判定する費用分、確認申請手数料の引き上げがなされます。
そのまま施主負担とお話し出来るかどうか、請負者側からすると難しいところです。

また、建築確認審査機関が大幅に延長されます。これからは簡単に確認はおりないということです。

さらに確認申請時提出する書類も増えます。
木造住宅を申請する場合今まで提出してこなかった各回床伏図、小屋伏図が必要となります。この辺も大きな課題です。
今の住宅は、殆どがプレカット化されています。梁伏せはプレカット工場で独自に図面かされてきます。数社のプレカット工場を使っている会社では、金額折衝した上でプレカット工場決定し、その後確認申請を出した方が良いことになります。

確認申請の訂正も安易に出来なくなります。
今まで、差し替え等の対応で済んだものが、再提出対応となります。申請料の再度の支払いが起きるようです。

建築士も神経使います。建築確認の手続き違反は懲役1年罰金100万円になります。今まで以上の真剣な取り組みが必要です。

時間を掛けて、この建築基準法の改正についてもお話ししていきましょう。

この土曜日、なかけんハウジングでは協力業者さんと勉強会で滋賀県五個荘に行ってきました。ボランティアの方がガイドとして付いていただき、静かな旧家の町並みをしっかり勉強することが出来ました。

五個荘1.JPG
みんなしっかり見学してますね。


五個荘2.JPG

旧家の町並みですね。


ところが、なんと私は今回欠席してしまいました。次回は必ずいきたいと思ってます。
「んーん、しっかし残念、もったいなかった」

で本題

今回は

木の割れと強度の関係の話


含水率について
http://katoublog.seesaa.net/article/41790699.html  
でお話ししました通り、木は伐採後、どんどん乾燥を続けます。

乾燥が続き、繊維飽和点を超えると収縮という寸法変化が発生し始めます。
収縮すると言うことは、割れや、反りもこの時点で始まると言うことです。

前回最後にお話しした
http://katoublog.seesaa.net/article/42033380.html
「家を建てた最初の冬、天井裏でピシッと木が裂ける音がしてびっくりした」と言うのも、天井裏で、柱や梁が乾燥して収縮して裂けた音です。
昔は良くこんな話を聞いたものです。

さて、木が割れると強度が落ちるのでしょうか?

樹齢50年以下の木材は構造材に使う場合は「芯持ち材」を使います。
樹芯を含まず製材した角材「芯去り材」は割れにくく、節もなく、木目が美しい特徴を持ち、「芯持ち材」は腐りにくく強い事から、土台や柱に使用するのですが、木の収縮が一方向でないため、乾燥すると割れが生じます。

応力は  「応力」=E×「ひずみ」  で表され、木材に力を加えると一定のところまでひずみと応力は比例関係になります。ここでEは比例定数みたいな者です。このEがヤング係数と言われるものです。

木の強さはこのヤング係数で表されます。

静岡県林業技術センターでは、割れの入った柱、梁で
柱の圧縮強度試験
梁の曲げ強度試験
を行いパンフレットで公開しています。
これによると、国土交通省告示の柱の必要ヤング係数17.7KN/m㎡、梁の必要ヤング係数22.2KN/m㎡を全ての割れた木材がクリアしています。

割れがある柱や梁でも強度は大丈夫と言うことです。

今朝は夜中から、東海地方では雨が降っています。
昼頃には上がる見込だそうです。

毎日庭の鉢に水やるだけで、朝の時間の無い中大忙しなのですが、今日は雨だったのでその時間ゆっくりさせてもらいました。

小さい庭に、植木鉢やプランターが今70鉢くらいあるのではないでしょうか。手入れも大変なので、多くても100鉢以上には成らないように心がけています。

基本的に、季節の花ばかりです。1年草ばかりです。それだけに、1年中何かの花を咲かせておくには植え替えが頻繁でなければ成らず、まぁ一苦労ですが楽しいものです。綺麗だしね。

さて、含水率の話の続きをしましょう。

含水率の話(2)

さて、木は乾燥して使うことが原則です。
乾燥させることで、木に収縮の少ない精度の高い品質を要求するのです。

乾燥は「天然乾燥」「人工乾燥」があります。

伐採した直後の未乾燥の木を「グリーン材」
天日乾燥の天然乾燥の木材を「Air Dry材」 (AD材)
人工釜(kilnと言います)で、木材の芯の結合水を強制的に乾燥させた材木を「Kiln Dry材」 (KD材)と読んでいます。

含水率はグリーン材で28%前後、AD材で22%前後、KD材で18%くらいが一般的な入荷してくるときの含水率ではないでしょうか。

ところが、平衡含素率まではまだ開きがあります。
平衡含素率い近づくにしたがって、収縮し狂い をだします。

ようするに、上棟し家の形をしてから平衡含水率になるまで、収縮が進むということなのです。

私は、数年前まで地元天龍の木材を使いませんでした。

KD材を造る技術がないためAD材を使うしかなかったか
らです。

現在の厳しい競争社会の中では工期も重要な受注要素となっています。工期が短ければアパート家賃も少なくてすみますからね。

そういう状況では、未乾燥材(AD材を含む)の梁の上に根太を組み、床を仕上げていきます。当然乾燥が進み梁も根太も縮みが進行します。完成後しばらくして、床鳴りが始まる大きな原因の1つとなります。巾木とフローリングの取り合いに隙間がところどころ出来たりするのも、これが原因です。

住宅保証機構の一戸建住宅性能保証制度「規則集」の中で別表で短期保証の内容が示されていますが、その中にわざわざ「木材は経過により収縮するもであり、羽目板、縁甲板、巾木等に多少の隙間ができることはやむをえないことであり、住宅の品質又は性能を損なうものではありません。」と明記しています。

事前に良く木の性質を説明しておかないと、竣工後のトラブルの原因となります。

10年20年と住んでいる一般木造住宅で床鳴り(床のきしむ音)が全くないお宅はありません。(ウグイス張りのような音は違います)
木造住宅は完成後平衡含水率に向かってどんどん乾燥し収縮していきます。小さな床鳴りは木造住宅の宿命と言えます。

話戻りまして、最近では天龍の組合や竜山森林組合では試行錯誤のすえ、乾燥の技術を確立し、出荷できるようにようになりました。

私も最近では沢山使ってます。地域の木を50%以上使うと上限で40万円の補助金のでる「天竜材の家百年住居る事業」という制度が浜松市にはあります。
同様な「しずおか優良木材の家支援制度」という制度が静岡県にもあります。

今では積極的に制度の利用もお話ししています。
なかけんハウジングの「やすらぎ」「こもれび」シリーズはこの対象であり、完成後の評判も大変良いです。

ところで話もう一度戻りまして、家を造る工期は、昔は1年以上あるのが当たり前でした。その昔は2年も3年も時間を掛けて家づくりしていました。

大工さんは加工場で、乾燥具合を見ながら時間を掛けて加工していました。そして、上棟して屋根工事が終わると、何ヶ月も放置して乾燥と収縮を待ったのです。外壁に土壁漆喰を用いるときは、下塗りをしてまた何ヶ月も乾燥収縮を待って仕上げをしたのです。

私の意見ですが、住宅金融公庫がその姿を一変させたのではないかと思っています。

低金利の為多くの人が公庫融資を受けて家を建てるように成りました。

公庫にはその規定に「何日以内に、何々まで行うこと」と工程時間が決められて、そこには乾燥という作業に時間が与えられていません。

大工さんはAD材であっても、グリーン材であっても乾燥させる間もなく次の作業をせざるしかなかったのです。

長く成ってしまったので今回はこの辺で終わりにしておきましょう。
今回は木材の含水率の話でした。次回は何のお話しにしましょうか。結構ブログってプレッシャーですね。(^O^)

追記
私の知り合いの大工さんの話ですが、「昔加工場でホゾ穴をノミで掘り加工していたら、次の日水がしみ出てたまっていた。」という話を聞きました。「天井裏で梁が裂ける音が一冬続いた」なんて言う話も、KD材を使う今ではなくなった話です。

昨日は静岡県西部地方、午後から雨が降る予定でしたが、
なんとか持ちこたえました。(^O^)
で、午後から趣味の庭の花の手入れが出来ました。
毎週しないと今は育ちが早くて手遅れになることがあるん
です。(;_;)ってことがね。

実は、なんと4月に家内が25年はめていた結婚指輪を排水
口の残飯と一緒に捨ててしまい、一人で大騒ぎしたんです。
それで、新しく注文してあった指輪を、昨日の午前中取り
に宝石店に行ってきました。
いやはやなんと言ったらいいものか(・_・|

おかげで、家内はチョット私に気を使う感じで、1ポイン
ト貸しって態度で昨日は過ごしました。

ってことは、いいとして

今日から木について、少し話してみようかと思います。
木の性格は気難しくて、奥が深い、その代わりとても優し
い。日本人にはもっともなじみの深い建築材料です。

しかも、最近は木の性格を数値で表現してだんだん分かり
安く成ってきました。

ここでは、表面的にもなりますが、分かりやすいお話しを
していきたいと思います。

まず今回は
含水率の話(1)
です。

木の中には水分が沢山含んでいますね。
その水は自由水という物と結合水という物の2種類がありま
す。

自由水は木の細胞の隙間にある水で、木の性質には関係あ
りません。

結合水は細胞に結びついているのでこの水の出入りは木の
伸び縮みという木質に大きく影響します。

伐採された直後の木の中には自由水結合水も沢山含んで
います。

その後、乾燥と共にまず自由水が減っていきます。

しかし、自由水が減っても重量が減るだけで寸法の変化は
起きません

自由水が無くなったところを繊維飽和点と呼び、含水率30
%前後がこの領域の数値です。

これから乾燥がさらに進むと、収縮という寸法変化が発生
し、強度は上がっていきます。

さて、この含水率
「夏の代表スイカは99%が水です」と言う時の%
「スイカって殆ど水ね!!」って解釈す時の%の定義とは
異なります。

「完全に乾いた水を含まない木材の状態が100で、それに水
分10が加わった時、含水率10%といいます」

ですから、完全乾燥状態の材木100に水分100が入ると、
水率
100%と呼ばれる訳です。

伐採直後の杉は含水率200%を越えるそうです。

木材の含水率はある程度の数値で安定します。

これを平衡含水率と言います。

この平衡含水率は、温度湿度によって違ってきます。建築
材料として使う木材の平衡含水率はだいたい15%当たりと
成っています。

次回はこの含水率がもたら強度の違いをお話しします。

能登半島地震の原因(4)

6.地盤の悪い地区に被害が出た。

どこの地方でも同じことであるが、この地震でも地盤の悪
い所で被害が集中していると調査に入った各大学、研究所
が同じように報告しています。

私も穴水町から門前地区に入った時、被害の小さな地区か
ら、突然被害の大きい地区に入り驚きました。
「これは地盤の善し悪しの差だな」と感じました。

内閣府がホームページで全国の軟弱地盤を表示した「地盤
のゆれやす全国マップ」
http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/
を拡大してみると、今回の能登半島地震の被害が多きかっ
た地区と、このマップの中の赤いヶ所すなわち軟弱地盤地
区とが重なることが分かります。

ここで被害の原理を少し長くなりますが、お話ししたいと
思います。

全ての物質にはそれぞれ違う固有の振動周期があります。
建物も同じです。これを「固有周期」と呼びます。

木造家屋の固有周期はほぼ0.1秒から0.5秒です。

一方地面も特定の周期で揺れます。これは地盤の固有(卓
越)周期
と言います。

地震波により毎回少しずつ変わります。
地層がの厚さが同じ場合、軟弱な地層ほど周期は長くなり
同じ層の場合、厚い方が周期は長くなります。

この固有周期が、地盤の卓越周期に近かったり、同じ秒数
になると、揺れが加速されより大きく揺れるようになりま
す。これを「共振」と呼びます。

建物は耐震が進めば固有周期が短くなり、0.1~0.2秒に、
古く壁が少ない言ってみると柔らかい建物は0.3~0.5秒と
予測されます。

まさに、この周期は軟弱地層の10m~30mの地区の周期と
重なります。
古い建物は軟弱地盤地区で共振してさらに被害を大きくする
という悪循環
がここにあるのです。

1944年東南海地震の分析では、磐田市袋井市で地盤の卓越
周期0.4秒地域で全壊率が大きかったと報告されています。

また、阪神・淡路大地震では京大の防災研究所が、地盤の
硬い地域に比べ軟弱地盤では古い建物を共振させてしまう
周期約0.5秒が25倍にも達したと発表しています。

阪神・淡路大地震では軟弱地盤地域の倒壊率は、それ以外
の地域の4倍に達しています。

古い柔らかい(壁が少ない)建物は軟弱地盤で、硬い地盤
の25倍も危険と言えるのかもしれません。

今回の地震でも軟弱地盤地域で、共振が起きたことは間違
い無いと思います。

ここで、地震に強い免震住宅の話をちょっとします。

免震建物は、「建物の基礎部分に(多くが)免震装置を取
り付け、建物全体を地面から完全に切り離し、持ち上げて
この免震装置で建物の固有周期を3秒くらいまで長くして、
共振を避けることで揺れを大きくしない」というのが、免
震建築物の原理です。

なかけんハウジングでもオイレス工業の免震装置を使った
免震住宅「まもるくん」をご案内しています。

ちなみに、認定を取らずに一般確認申請で、木造の在来工
法で免震建物の建築許可を取り、建築したのは、静岡県で
は1番最初でした。正確な資料はありませんが、メーカー
の話では「全国的にも5番以内だろう」とのことでした。

木造住宅であるにもかかわらず、市でも県でも初めて出さ
れたの免震住宅の確認申請物件ということで、慎重にかつ
親切に対応頂きながらも、許可が降りるのに住宅としては
異例に50日もかかった事を今は懐かしく思い出します。

今回で、能登半島地震についてのお話を終わりと致します
次回からは、当初に立ち戻って、もう少しラフな話を取り
混ぜながらこのブログも進めて行きたいと思います。

よろしくね。

能登半島地震の原因(3)

4.接合部に金物が無い

私が見た倒壊建物は古い建物ばかりでしたが、そこには金
物らしいものは見られなかった。

柱は土台に短ホゾで接合されているだけのようでした。
柱と土台金物、管柱と梁に羽子板金物、筋交いにプレート
金物が使われていたなら、
今の建物ほど完璧に金物補強されていなくても、倒壊した
建物も倒壊せずに済んだのではないかと思われます。

釘止め施工では何もしていないも当然です。

地震によって、横向きの力が建物に入ったとき、長方形の
壁は長方四辺形に変形します。その時力が入った側の柱に
は引き抜きの力、すなわち持ち上がりの力が起き、柱はス
ポッと抜けでてしまい、筋交いは引き抜かれます。
戻りの力で簡単に倒壊する仕組みです。

接合部には金物が大変大事ということです。

私が耐震診断して、屋根裏に入って調査すると、昭和56
年以前の建築で、同時期に建った住宅でも、案外金物が使
われている物件と、殆ど使われていない物件とあります。

明らかに、大工さんの意識の違いが施工に現れいるのだと
思います。

聞き取り調査すると、当時すでに年配であった大工さんが
施工した物件に施工不良が多いように思います。
新しいやり方い馴染めず、昔の施工にこだわっていた様子
が伺えます。


5.瓦が耐震施工されていない。

今回、地震被害地周辺地域から被害の大きい地区へと向か
い進んで行く途中で最初に多く目に付き出す被害が、屋根
被害です。

今から20年以上前の屋根は壁土を使って瓦を止めていま
した。

今ではフェルトの上に瓦桟という木を打ち、全ての瓦1枚
1枚をそれに引っ掛けてます。瓦にも釘穴が空いていて釘
打ちされ止められています。

当時の施工は平瓦も土で止めていましたが、棟瓦ののし瓦
の5段、7段も土で積み上げるだけでした。
(今回被害に出たくらい古住宅になると、脚でケ飛ばした
くらいでも棟瓦は取れてしまいます。)

この施工方法が被害を一番大きくした原因です。

また、屋根に被害が出た住宅では、小屋組み(屋根裏)の
筋交い(桁筋交い、小屋筋交い)がしっかり入っているか
疑問です。

先日私が行った耐震診断した住宅は、昭和50年築ですが
屋根に全く筋交いがありませんでした。

こういう住宅は同然のことですが、しっかり入っている住
宅より激しく屋根が揺さぶられるように揺れたと思います。

しかも、壁が後方に偏ったりして、偏心率も高く、水平剛
性が取れていない昔の建物では、大きなねじれが起きたと
考えられます。これで一気に棟ののし瓦がバラバラに成っ
たと考えられます。

門前地区中心街 棟瓦.JPG
至る所で棟にシートがかかってます。

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