建築士カトーのヒトリゴト

能登半島地震原因(3)

能登半島地震の原因(3)

4.接合部に金物が無い

私が見た倒壊建物は古い建物ばかりでしたが、そこには金
物らしいものは見られなかった。

柱は土台に短ホゾで接合されているだけのようでした。
柱と土台金物、管柱と梁に羽子板金物、筋交いにプレート
金物が使われていたなら、
今の建物ほど完璧に金物補強されていなくても、倒壊した
建物も倒壊せずに済んだのではないかと思われます。

釘止め施工では何もしていないも当然です。

地震によって、横向きの力が建物に入ったとき、長方形の
壁は長方四辺形に変形します。その時力が入った側の柱に
は引き抜きの力、すなわち持ち上がりの力が起き、柱はス
ポッと抜けでてしまい、筋交いは引き抜かれます。
戻りの力で簡単に倒壊する仕組みです。

接合部には金物が大変大事ということです。

私が耐震診断して、屋根裏に入って調査すると、昭和56
年以前の建築で、同時期に建った住宅でも、案外金物が使
われている物件と、殆ど使われていない物件とあります。

明らかに、大工さんの意識の違いが施工に現れいるのだと
思います。

聞き取り調査すると、当時すでに年配であった大工さんが
施工した物件に施工不良が多いように思います。
新しいやり方い馴染めず、昔の施工にこだわっていた様子
が伺えます。


5.瓦が耐震施工されていない。

今回、地震被害地周辺地域から被害の大きい地区へと向か
い進んで行く途中で最初に多く目に付き出す被害が、屋根
被害です。

今から20年以上前の屋根は壁土を使って瓦を止めていま
した。

今ではフェルトの上に瓦桟という木を打ち、全ての瓦1枚
1枚をそれに引っ掛けてます。瓦にも釘穴が空いていて釘
打ちされ止められています。

当時の施工は平瓦も土で止めていましたが、棟瓦ののし瓦
の5段、7段も土で積み上げるだけでした。
(今回被害に出たくらい古住宅になると、脚でケ飛ばした
くらいでも棟瓦は取れてしまいます。)

この施工方法が被害を一番大きくした原因です。

また、屋根に被害が出た住宅では、小屋組み(屋根裏)の
筋交い(桁筋交い、小屋筋交い)がしっかり入っているか
疑問です。

先日私が行った耐震診断した住宅は、昭和50年築ですが
屋根に全く筋交いがありませんでした。

こういう住宅は同然のことですが、しっかり入っている住
宅より激しく屋根が揺さぶられるように揺れたと思います。

しかも、壁が後方に偏ったりして、偏心率も高く、水平剛
性が取れていない昔の建物では、大きなねじれが起きたと
考えられます。これで一気に棟ののし瓦がバラバラに成っ
たと考えられます。

門前地区中心街 棟瓦.JPG
至る所で棟にシートがかかってます。

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