能登半島地震の原因(4)
6.地盤の悪い地区に被害が出た。
どこの地方でも同じことであるが、この地震でも地盤の悪
い所で被害が集中していると調査に入った各大学、研究所
が同じように報告しています。
私も穴水町から門前地区に入った時、被害の小さな地区か
ら、突然被害の大きい地区に入り驚きました。
「これは地盤の善し悪しの差だな」と感じました。
内閣府がホームページで全国の軟弱地盤を表示した「地盤
のゆれやす全国マップ」http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/
を拡大してみると、今回の能登半島地震の被害が多きかっ
た地区と、このマップの中の赤いヶ所すなわち軟弱地盤地
区とが重なることが分かります。
ここで被害の原理を少し長くなりますが、お話ししたいと
思います。
全ての物質にはそれぞれ違う固有の振動周期があります。
建物も同じです。これを「固有周期」と呼びます。
木造家屋の固有周期はほぼ0.1秒から0.5秒です。
一方地面も特定の周期で揺れます。これは地盤の固有(卓
越)周期と言います。
地震波により毎回少しずつ変わります。
地層がの厚さが同じ場合、軟弱な地層ほど周期は長くなり
同じ層の場合、厚い方が周期は長くなります。
この固有周期が、地盤の卓越周期に近かったり、同じ秒数
になると、揺れが加速されより大きく揺れるようになりま
す。これを「共振」と呼びます。
建物は耐震が進めば固有周期が短くなり、0.1~0.2秒に、
古く壁が少ない言ってみると柔らかい建物は0.3~0.5秒と
予測されます。
まさに、この周期は軟弱地層の10m~30mの地区の周期と
重なります。
古い建物は軟弱地盤地区で共振してさらに被害を大きくする
という悪循環がここにあるのです。
1944年東南海地震の分析では、磐田市袋井市で地盤の卓越
周期0.4秒地域で全壊率が大きかったと報告されています。
また、阪神・淡路大地震では京大の防災研究所が、地盤の
硬い地域に比べ軟弱地盤では古い建物を共振させてしまう
周期約0.5秒が25倍にも達したと発表しています。
阪神・淡路大地震では軟弱地盤地域の倒壊率は、それ以外
の地域の4倍に達しています。
古い柔らかい(壁が少ない)建物は軟弱地盤で、硬い地盤
の25倍も危険と言えるのかもしれません。
今回の地震でも軟弱地盤地域で、共振が起きたことは間違
い無いと思います。
ここで、地震に強い免震住宅の話をちょっとします。
免震建物は、「建物の基礎部分に(多くが)免震装置を取
り付け、建物全体を地面から完全に切り離し、持ち上げて
この免震装置で建物の固有周期を3秒くらいまで長くして、
共振を避けることで揺れを大きくしない」というのが、免
震建築物の原理です。
なかけんハウジングでもオイレス工業の免震装置を使った
免震住宅「まもるくん」をご案内しています。
ちなみに、認定を取らずに一般確認申請で、木造の在来工
法で免震建物の建築許可を取り、建築したのは、静岡県で
は1番最初でした。正確な資料はありませんが、メーカー
の話では「全国的にも5番以内だろう」とのことでした。
木造住宅であるにもかかわらず、市でも県でも初めて出さ
れたの免震住宅の確認申請物件ということで、慎重にかつ
親切に対応頂きながらも、許可が降りるのに住宅としては
異例に50日もかかった事を今は懐かしく思い出します。
今回で、能登半島地震についてのお話を終わりと致します
次回からは、当初に立ち戻って、もう少しラフな話を取り
混ぜながらこのブログも進めて行きたいと思います。
よろしくね。
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