耐震診断・補強工事したい人はどうすればいいの(後編)
では、前回のフローをもう少し詳しくお話ししましょう。
みなさんはどうしたら耐震診断できるのでしょうか。
【昭和56年5月31日以前の建物】の確認
↓
【専門家による無料耐震診断「わが家の専門家診断事業」】
お住まいの市町村の建築住宅課に連絡してください。無料で簡易診断が受けられます。
ここで、大方の安全が確認できます。
↓ ただし我が家の専門家診断を受けなくても
下記は申請できます
【補強計画の策定に対する補助「木造住宅補強計画策定事業」】
診断する場合の補助金制度です。
この補助金を受けたい方は、建築設計事務所に耐震の診断の依頼をおこいます。
ただし、
・静岡県木造住宅耐震補強相談士
・木造住宅の耐震精密診断講習会受講修了者
・静岡県の木造住宅耐震講習会受講者
・震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針講習会受講者
・住宅直し隊
・静岡県内の木造住宅の耐震精密診断と補強方法(改訂版)の受講者
の資格を持った方の診断が条件となります。
無資格者では補助金が頂けませんので注意してください
ここで補助金をもらうには
「申請」 → 「市からの診断の許可」 → 「設計士による診断」 → 「設計士による補強計画」 → 「設計費の支払」 → 「補助金支払いの申請」 → 「市からの補助金の入金」
の手順をとらなけばいけません。
ここで補助金は診断費用の3分の2。ただし9万6千円が上限です。
私はいつもこの市役所への申請、お客様の代理に行っています。
↓ 次に
【補強工事に対する補助「木造住宅耐震補強助成事業」】
補強工事を行うときに頂く助成金の制度です。
耐震性に問題がある木造住宅の耐震補強工事に対して、30万円の補助金が受けられます。市町によっては、高齢者のみの世帯や障害のある方と同居の世帯に対する割増補助や独自の上乗せ補助があります。
対象住宅は 静岡県内にある、昭和56年5月31日以前に建築された、耐震診断の結果が総合評点1.0未満の(「倒壊又は大破壊の危険がある」又は「やや危険がある」)木造住宅となります。
補助金は30万円が上限です。65歳以上の者のみの世帯にはさらに20万円が加わります。(市町村によって変わりますので問い合わせて確認してください)
ここでは以下の通りのフローとなります。
「申請」 → 「市からの診断の許可」 → 「補強工事」 → 「工事金の支払い」 → 「補助金支払いの申請」 → 「市からの補助金の入金」
の手順となります。手順を間違えると補助金がもらえませんので注意します。
いずれにしても大変な作業(申請業務)となります。個人ではできるのではありません。私はお客様に変わって申請をしていますが、他の仕事ができなくなってしまうほどです。
実は今年4月より診断方法が変わりました。
今までの診断方法を「簡易診断方」
新しい診断法を「精密診断方」と呼んでいます。
浜松市では両方受け付けているようですが、講習では4月より今までの「簡易診断方」では受付られなくなると説明を受けました。
自治体によっては、「精密診断方」しか受付しない所もありますのでご注意ください。
この「精密診断方」は今までより診断が厳密になり、計算も相当な構造設計の先生でないと手計算はできない難しさとなりました。
しかし、正確に算出されるため、補強部位が減り、工事費自体は減額される結果が得られます。
「簡易診断方」は簡易なだけに安全率が高く設定され、補強ヶ所も増えると言うわけです。
現実両方使い分けてみると明らかに補強ヶ所が今までの診断だとむやみに多いのかが実感します。
しかし、現場診断の手間も今までとは違い大幅な丁寧さが必要と成りました。
言い換えると、手間がかかる。すなわち診断にかかる人件費が大幅にかかるように成ったと言えるわけです。
先日、浜松市の窓口で聞いた話ですが、「今年4月からTOKAI-0の申請が大幅に減った。設計の人が人件費み見合った業務でなくなったので、診断をお断りしている話を何人からも聞いた」と言っていました。
精密診断ソフトは市販で10万円を超える物を使わないとできない状態です。
7月静岡県建築士会でエクセルによる新診断ソフトが安価で出ましたが、現実的には使いこなすには今一つ無理があるように聞いています。
私も今後の精密診断は行うべきかどうか難しいところにあると、費用対効果(掛けた時間が報酬として戻ってこないのでは)を考えているところです。
次回お見せしますが、床下・屋根裏をはい回る作業もどれだけ大変か知っていただけたらと思います。
次回は実際の診断、補強工事を写真でご紹介します。
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