外断熱と充填断熱に暖かさの差はない
家の断熱の方式には外(張り)断熱方式と充填断熱方式と内(張り)断熱方式があります。
コンクリート住宅、マンションでは内断熱方式もありますが、一般戸建て住宅では外断熱方式と充填断熱方式の2つがあります。
外断熱方式は、家全体を外壁面と屋根面で断熱するものです。
外断熱では室内側に防湿シートは張らず、柱間も空間にします。柱の外壁面に防湿シートを張って、断熱材(硬質材が多いです)を打ち付けます。その外部に通気シート+胴縁を打ちサイディングを張る方式となります。
屋根は垂木間に断熱材を敷き詰めます。
こうして、家中をすっぽり断熱材で覆い込みます。
冷暖房方式としては全館冷暖房方式にしないと、外張り断熱工法を選択した意味が薄くなってしまいます。家中トイレも、納戸も、屋根裏でさえ同一温度に成るような仕組みになります。
寒い地方では部屋を一歩出たら、外気みたいに寒いのでは困ります。夜トイレに行く時、寒さに震え、血管がきゅーと縮んだ後、部屋に戻って布団に横になると急に細くなった血管に血が送られ、脳梗塞になる(>_<) なんて事態陥る可能性が出るわけです。
それを防ぐために、「家中どこへ行っても同一温度にする」を言う発想から生まれたのが、外張り断熱方式なのです。
充填断熱方式は柱間に断熱材を充填、その室内側に防湿シートを張ります。外壁は柱に通気シート(防水性通気シート)を張りその上から胴縁という木材を打ち、外壁材(サイディング、鉄板等)を張ります。
一般的には屋根面の断熱は行わず、天井裏に断熱材を敷き込みます。
ローコスト住宅では外気に接する天井面だけ敷き込むメーカーもあります。なかけんハウジングでは1階も2階も全ての天井裏に断熱材を敷き込んでいます。家中をすっぽり断熱材で覆う外張り断熱方式に対し、各階を断熱材で覆う形を取っています。
暖房は個別部屋毎の対応となります。
これだけ暖かい静岡の地では、家中暖房する必要を感じている人はおそらく少ないと思います。
実際私達が建てた高気密高断熱のお宅は全館暖房をランニングコストの関係でもったいないと使っていないお宅ばかりです。この地方です、真冬の夜ですら、平気でトイレに行けるほどの暖かさなのですから。
さて、ここで科学的にお話しすると、熱貫流率は熱貫流のしやすさを表します。
熱貫流率が小さければ小さいほど壁の断熱性能が高いことになります。
ちなみに熱伝導抵抗とはその材料の厚さδをその材料の熱伝導率λで割った値δ/λです。
壁の熱貫流率を計算するときその壁の熱伝導抵抗を計算します。
壁の熱伝導抵抗はその壁を構成する材料の熱伝導抵抗の合計値となります。
すなわち、同じ断熱材を同じ厚さだけ使えば、壁のどの部分あっても、壁のどちら側にあっても壁の熱貫流率は変わらない。断熱性能は変わらないと言うことになります。
外張り断熱方式と、充填断熱方式で同じ材料で同じ厚さを使えば断熱性能に違いは無いのです。
簡単にはこのような話になります。(細かくは間柱が木材で断熱材と熱伝導抵抗が違いますから正確には少し異なります。)
外張り断熱方式は、寒い地方では全館冷暖房するに当たって有用な工法であります。それは確かのことです。
この地方では費用対効果を考えると、断熱という観点からはもったいないと言わざるを得ないと考えます。
ちなみに、熱貫流率に差がないので、両者でクロス面等の室内表面結露の生じやすさにも影響は起きません。
実は壁内結露対策では別の側面を持ちます。また後日の話とします。
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