建築士カトーのヒトリゴト

免震建物

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免震住宅『まもるくん』

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本日、免震部建築施工管理技術者更新講習会を受講に東京の新宿まで行ってきました。

免震部建築施工管理技術者制度というのは、日本免震構造協会の制度です。

日本免震構造協会では、免震部の施工計画、施工品質管理における専門技術・知識に関する講習会の受講、考査の合格者を「免震部建築施工管理技術者」として認定、登録しています。
そして、免震建築物の工事管理にあたっては本資格を有する工事責任者をおくか、その指導を受ける体制にすることが望ましいとしています。
日本最大の設計事務所日建設計では、免震建物を工事する場合、免震部建築施工管理技術者が従事しなければならないと社内規定があるそうです。(今日の講師の一人が日建設計の部長さんでそう言ってました)

私たちなかけんハウジングでは免震住宅『まもるくん』という免震住宅の商品を持っています。

そのため、私ほか工事課長を始め技術者はみな取得する方針で、受験させています。

安心して工事をお任せいただける体制ができています。

今日の講習の話ですが、日建設計が設計し大手ゼネコンが施工した沖縄の物件で(大手ゼネコンは地元建設会社とJVを組んでいたようですが)、免震建物であるにもかかわらず、免震装置の上に乗った上部構造の一部のスラブを下部構造の壁に鉄筋で配筋してコンクリートで丁寧に合体してあたったそうです。竣工検査で、スラブ下に手を回して検査して発見した言ってました。

どういうことかと言うと、地震時に免震装置が働き、上部構造物が下部構造と別の動きをしてスライドするはずなのに、「上と下がくっついていていっしょに動いてしまう」とんでもないことになってしまっていたのです。

「大手ゼネコンですら、免震建物というと技術者に経験がなく、免震建物がどういう仕組みかもわからず施工する現状にいまだある」と嘆いていました。

このようなことが無いよう、日本免震構造協会では免震部建築施工管理技術者の養成に努めているわけです。まだ新しい資格制度で、全国に3000名しか現在いないそうです。

しかし、今なぜ免震建築なのでしょうか

門前地区中心街被害3.JPG

門前地区中心街 被害1.JPG
私が実際に取ってきた能登半島地震被災写真です。

高まるリスク

1995年1月の阪神・淡路大地震から13年が経過しようとしています。その後も2004年に新潟県中越地震、2005年に福岡県西部沖地震、今年能登半島地震、中越沖地震と続けて起きています。

そして今、東海地震東南海地震南海地震東京湾北部地震などの発生が確実視されています。今すぐ起きてもおかしくない状態なのです。

地震へのリスク対策が重要になっているのです。

阪神・淡路大地震1995年 1月17日 5時46分マグニチュード7.2
新潟県中越地震 2004年10月23日17時56分マグニチュード6.8
福岡県西方沖地震2005年 3月20日10時53分マグニチュード7.0
能登半島地震  2007年 3月25日 9時42分マグニチュード6.9
新潟県中越沖地震2007年 7月16日10時13分マグニチュード6.8
これだけ続いているんですよ

最も有効な地震対策は

地震対策としては、損失の低減のため建物の耐震化を図ることであり、その中でも免震化は最も有効な対策です。

免震建築物は、下部構造(基礎部分だったり)と上部構造の間に免震装置を設け完全に上下を縁切れさせ、地震時に破壊的な力を免震部材によって低減させ、上部構造をゆっくりとした動きに変えることができる建物です。

今年の中越沖地震では被災地にあった免震構造の4階建ての養護施設に、その後の余震が怖くて避難所に避難できない近隣が400名も逃げ込んできたそうです。
その建物では、本箱の上の花瓶も落ちなかったとビデオの中で言っていました。

免震建築物の状況

1983年に千葉県八千代市にできた免震住宅が免震建築物の第1号とされています。以来ビル免震建物は1600棟、免震住宅は3000棟が建築されているそうです。

静岡県内では2004年12月末データで74棟のビル免震建築物が竣工しているそうです。

また、既存建築物をジャッキアップして持ち上げ、下部に基礎を構築し、免震装置を取り付る『レトロフィット』という方式は、歴史的建造物などで施工されていますが、事務所ビル群でも最近多く採用され、現在70以上が施工中とのことでした。あの煉瓦造りの東京駅もその計画が進んでいるそうです。

中村建設(株)建築本部では全国に先駆け今から20年程前にすでに免震マンションを浜松市内で施工しています。当時としてはまだ免震建築物は珍しく、全国的のも10数件目くらいだったかに聞いています。

住宅事業部(なかけんハウジング)でも2001年6月の「免震建物の告示」が施行されて、今まで大臣認定でしか建てられなかった免震建物が、大臣認定を受けずに一般認定で建てられるようになり、直ぐに計画。県と事前協議を進め、2002年3月には静岡県で一般認定の在来木造住宅では県下第1号となる免震住宅を美咲台に建てました。
免震装置メーカーのオイレスの技術者の話によれば全国でも10番以内の実績だそうです。

当時を振り返ると、各方面を説得して回ったり、県に相談に行ったり、県や市町村の役人対象に免震見学会を行ったり、我ながらすごバイタリティでした。

今でも、技術力はどこにも負けない自負で住宅建設を行っています。

免震住宅でも、鉄骨住宅でも、RC(コンクリート)住宅でも、シックハウス対策住宅でも何でも建てられる技術力があり、しかも実績もあることが私たちの自信と強みです。

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