外張り断熱工法の問題
前回お話しした内容の復習をします。
次世代省エネ基準についてお話しをもう一度します。
次世代省エネ基準
次世代省エネ基準.pdf
次世代省エネ基準において、充填断熱工法では、住宅用グラスウール24Kや高性能グラスウール16KはB類に分類され(λ=0.040~0.035)、100mm壁内に充填すればよく、また施工性にも何の問題もありません。よく使われる仕様です。
しかし、一般的に外張り断熱工法に使われる(株)カネカの押出ポリスチレンンフォームカネライトフォームスーパーEⅢや、アキレス(株)の硬質ウレタンフォームアキレスボードなどはE類(λ=0.028~0.029)になります。これらを使って外張り断熱工法の住宅を施工し、次世代省エネ基準満たす為には50mmの材料を使用すれば同等と評価されるます。
ここで、外張り断熱工法を図で下記に案内します。
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外張り断熱工法例.pdf
2通りの絵を出しましたが、実際には外張り断熱工法の家では桁上断熱の工法(天井断熱と言います)を取ることは少ないです。殆どが屋根断熱の工法を取り入れています。弊社もそうです。
ここで上記の次世代省エネ基準のPDFをもう一度みてください。
たとえばB類の断熱材を使用するとき、充填断熱工法では天井断熱を採用することが多いのですが、この時180mmが必要です。屋根断熱では充填断熱工法でも、外張り断熱工法でもさらに30mm厚く210mmが必要です。
これは、屋根断熱は天井断熱に比べ、屋根裏の空間を暖房しなければならず、暖房容積が増えます。また、冷たい外気と接する面積も増えます、その結果外気へ逃げる熱も増します。そこで、次世代省エネ基準では屋根断熱は天井断熱に比べ15%増しにしています。
外張り断熱工法では断熱材メーカーなどの提唱のせいで、家全体を同じ断熱工法にしようとして殆どが屋根断熱です。
そのため天井裏も暖房領域に入れてしまっています。
壁の外張り断熱工法の場合、絵の通り柱、梁の外側に数十ミリの断熱材を張り付けます。その後外壁材止めようの下地材を、断熱材を貫通して柱、間柱に専用ビスで止めます。実はこのビスが相当の長さに成ることが問題となります。
このとき断熱材は空気層のようなものですから、断熱材の厚み分だけ外側に浮いた状態になります。
外壁の重さ全部をこのビスが担当します。錆や打ち止め不良、良きせね荷重が外壁にかかったとき、外壁がずれ落ちる可能性があります。
私の経験では、50mmの外断熱材料を張った上に、外壁をビスだけで留めることは(正確にはビス留めした下地+外壁)心配で施工できません。
各住宅会社さんも、外張り断熱工法と言いながら、外張り断熱材の厚みが30mmとか35mmとかを使用しているところが多いです。
別に、次世代省エネ基準を目差しているわけでないでしょうから、いけないことではありません。しかし、外張り断熱工法が暖かいと間違って営業してはいないでしょうか。
次世代省エネ基準に合格するように施工したいとき、E類のボードを外張り断熱工法を施工する場合は50mmのボードが必要です。
これは外壁にずり落ち等を考えると施工が大変難しいし、どのような施工法でもリスクがあります。
ですから市内の外張り断熱工法標準仕様のある○×住宅会社さんも30mmで施工しています。
費用はグラスウール充填に比べ材料費、施工費で100万円程度のUPするのですが、厚さは規定の3/5しか満たしていません。
次世代省エネ基準に合格するように充填断熱工法でB類の断熱材を壁内に充填する場合100mmでOKで、施工に問題もなく簡単に行えます。材料費も安く私は手間代のUPは請求していません。
断熱性の優劣に関しては、充填断熱工法の方がいいとか、外張り断熱工法の方が優れているとかいうものではなく、断熱材の数値と厚さで判断すべきです。
そして、施工性や後日のメンテ、そしてその費用に見合った仕様か良く検討してください。
暖かさの検討をするときは是非参考にしてください。
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