2月2日「教えてください」さんのコメントへのご返事
ご質問
無垢の床材もたくさんあると聞きますがその中でも杉はとくにあったかく感じると聞きましたが?
友達の家も「杉にすればよかった!」と言ってました。
見ためだけでなく、何か特別の蓄熱とかがあるのでしょうか?
教えて下さい。
お答え
コンクリートの床に素足で立っていると脚が冷えます。
しかし、木材の上に素足で立っていてもコンクリートほど冷えません。
これは、立っている床の素材の熱伝導率が関係しています。
熱伝導率の数値が小さいほど熱が伝わりにくく、すなわち素足の足の裏が冷たく感じません。足の体温が床材に伝わって逃げて行きにくいということです。
スギの熱伝導率はコンクリートの1/12ですからそれだけ熱を伝えにくいのです。
ではどうして木は暖かいのでしょうか、それは木材が最も熱を伝えにくい空気で満たされているためです。
木材は熱伝導率が低いです。熱伝導率が低い物質は概ね空気層が沢山存在するといえます。
当然、空気が満たされているスタイロホームのような断熱材の方がもっと暖かく感じますよね。スタイロホームの熱伝導率は木材のさらに1/2くらいです。
では、木材の種類で比べるとどうでしょうか
材種それぞれ熱伝導率が違うため暖かさも違って感じます。
たとえば同じ無垢の床でも、針葉樹のスギと比べ広葉樹のカリンはずっと冷たく感じます。これはカリンよりスギの方が内部に含まれる空気の量が違うことに起因します。言い換えると比重の違いとも言えるのでしょうね。
スギの比重は0.38、カリンの比重は0.65で、スギの方がそれだけ軽く、空気を沢山含んでいるため、熱伝導率が低く、結果暖かく感じるのです。
材種の違いによる熱伝導率を比べて見ましょう。
- 鉄 84
- コンクリート 1
- 普通合板 0.178
- ミズナラ 0.142
- ブナ 0.14
- カバ 0.14
- ヒノキ 0.095
- スギ 0.087
- キリ 0.073
合板は熱伝導率0.178ですが、合板フローリングの表面は表面加工で密になっていますので熱伝導率はさらに大きいと思います。
結果、スギの方がフローリングより2倍暖かい、スギの方がヒノキより1.1倍暖かいという話になるのです。
お分かりになったでしょうか。
さらに断熱の話となると、その材種の厚さが関係します。
厚さを熱伝導率で割った数値が、熱伝達抵抗です。
構成する材料が複数ある場合は熱伝達抵抗の和で断滅性能を評価できます。
なかけんハウジングの『こもれび』で床をスギの無垢30mmとした場合
0.03÷0.087=0.3448 です
合板12mm下地+スギ無垢フロアー15mmの場合
(0.012÷0.178)+(0.015÷0.087)=0.2398 となります。
床断熱材を敷き込みますが、その上の床材では30mmのスギに無垢材フロアーの方が合板12mm下地+スギ無垢フロアー15mmの組み合わせゆかより0.3448÷0.2398=1.44倍断熱性能が高いことになります。
実際には「なかけんハウジング」では床材の下に熱伝達抵抗1.0の断熱材を敷き込んでいます。
床の断熱性能を比較すると(1+0.3448)÷(1+0.2398)=1.0845となり、スギの30mmの無垢材を使った方が、床の厚み全体でも1割程度暖かい事が分かります。
スギって暖かい触った感じも暖かいし、断熱性能もあるんですよね。
ここまで熱心に回答していただきありがとうございます。
見ただけでスギは暖かく感じますが、熱伝導率も関係しているのですね。
見学会の時、素足で歩いた感じが忘れられません。
本当に参考になりました。
ありがとうございます。