『耐力壁が載る梁』
柱の主な役割は、常に作用している鉛直荷重を支持することです。
柱の長さに対して断面が小さいと、思い荷重がかかったときに折れやすい。大きな力を支えるときは断面を大きくすれば良いと言えます。
次に重要なことは、水平荷時に耐力壁の外周枠に生じる圧縮力や引張力に抵抗することです。
柱は、このような鉛直荷重や引張力をスムーズに伝達できるように配置することが需要です。
すなわち、2階と1階で柱が連続していることが望ましいのです。
ですが、実際の住宅では2階の床の梁の中間に1階の柱を配置していることが少ないのです。
他社様の間取りを見ることが多いのですが、構造を全く考慮していないと思われる(地元工務店に多いのですが)プランが良くあります。
2階の梁には床荷重の他に、屋根や外壁の荷重もかかってきますから、大きなたわみが生じます。
さらに問題なのは、本日のポイントである、耐力壁が載っているのに、下部に柱が無い場合のこと。
2階の耐力壁が載っていると、水平力がかかったとき(地震などで)耐力壁は回転し、一方の柱は圧縮力、もう一方は引き抜き力がかかります。
これらの力と荷重が梁に加わるので、たわみはさらに大きくなります。
ですから、耐力壁のある下階には柱が必要に成るのです。
絵を描いてみました。分かるでしょうか。
左から地震力が加わります。
横揺れが始まります。耐力壁(筋交いのある壁のことです)が無い場合、左右に揺れるだけですが、大きくなると倒壊します。
耐力壁がある場合、2階の耐力壁では、ひずまないので右の柱は下側に圧縮力がかかり、左の柱には引張力がかかることになります。
ティッシュの箱をタテにおいて、上部を一方から押すと(滑らない場合)必ず持ち、押した方の面が上がりますよね。
この原理です。
プランを考えるとき、意匠にばかり走らないで、しっかりとした構造的安全を考慮して、考えなければ成らないです。だから難しいんですね。
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