『沈まぬ太陽』
すごい映画が出ました。
どう評価するかは別として、ここ近年の日本映画を代表する映画であることは間違いが無い映画です。
今回ばかりは『感動するとか』 、 『楽しむとか』 、そういう次元の映画ではないというしかありません。
原作がしっかりしているのでしょうね。物語の迫力に押されながら観ている感じがしました。202分が長く感じなかったのがその証拠です。
ここまでの映画を作るのであれば、もっと掘り下げた脚本、またはもっと泥臭い監督もあったのではないかと、私は今回は少し注文も付けたい気もしました。もっと難しい内容にしても良かったのではないと。しかしきっとそれではあまりに大衆受け作品から遠くに行きすぎるのでしょうね。
失礼ですが、
『人生を生きる』と真剣に考えている方々
『人生に悔いを残さない』と今を一生懸命な方々
『人生に大いなる後悔を残してしまった』 など反省している年配の方々
いろいろなことが自分の人生の中で巡り経験してきた年配の方や、この映画の内容に考え込んでしまえる知識人の方には問題作としてとらえることができる上流映画でしょう。
政治にも興味がない、企業の経営にも興味がない、社会人としての企業の中の自らの役割にも興味がない、自分のやりたいことは仕事を突き詰めた先にあることに気がつかず仕事に興味ない、いつも自分のせいじゃない自分が悪いんじゃない、などと考えてしまっている一部の貧困思想の若者達には、全く面白く無い映画でしょう。
興行収入を考えず、このような主題の映画の制作に取り組んだ制作会社達には頭が下がる気がします。
原作:山崎豊子
監督:若松節朗
主演:渡辺謙
出演:三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、横内正、小野武彦、香川照之、宇津井健、戸田恵梨香、蟹江一平、桂南光、秋野暢子、加藤剛、品川徹、小林稔侍、田中健、大杉漣、渡辺いっけい、西村雅彦、風間トオル
いかに大作映画であるかが、出演陣の豪華さを見るだけでも感じます。
主演を張るクラスの俳優さん達がぞろそろ出てきて、しかも1、2分だけの出演で。
それだけでもこの映画の意気込みが、観ている観客への迫力として感じました。
ただ、残念なのが、ここまで大作なのに、ここまですごいと思える映画なのに、数年経っても良い映画のひとつとして歴史に残るだろうか。記憶に残るだろうか。
どうしても、監督の手腕に少し疑問が残ります。
しかし、この大作を成し遂げたスタッフ関係者には拍手をあげたい。
この大作に取り組んだ角川映画他制作者達にも。
一企業の中で自分の信念に勇気を持って、ぶれずに貫いて生きていく主人公には深く感銘し、自分はどうかと説いてしまいます。
「私も負けてはいけない。」
大きな利権に、政治家と官僚、この劇中の国民航空の腐りきった企業トップがこのように本当に醜く絡んでいったのでしょうね。限りなくフィクションとされた原作です。
今まさに日本航空の再生を国をあげて取り組んでいるのがタイムリーで、国民の一人として真剣に見つめたいと思います。
日本映画の大作です。
ついでに一言
長い映画なので、途中に10分間のトイレ休憩がありました。長い間映画ファンをしていますが初めての経験でした。大変いいことだと思いました。観ている方々に年配者が多い映画では、後半トイレにぞろぞろ出入りする方が出て、集中できない事が多くあります。良いアイデアでした。
長い映画なので、前編後編の2部作とスタッフはしたかったそうですが、山崎豊子さんが許さなかったそうです。
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