『スノープリンス』
『おくりびと』の小山薫堂が現在の無垢な夢や気持ちを脚本に込めたと言う作品です。
監督は『東京タワーオカンとボクと時々オトン』の松岡錠司監督
主演は主人公にジャニーズJの森本慎太郎君、脇を固める方々に、香川照之、岸恵子、浅野忠信、中村嘉葎雄、壇レイ
舞台は昭和12年山形、雪の激しく降る地方、まだ貧しい子供達は学校時いけない子もあった時代。
貧しいながら、美しい気持ちを持ち続ける少年の物語。
このような物語で不思議なことに、この少年をいじめる役柄の人が出てきません。最初にいじめる友人も実は友達で一緒に遊びます。この少年を避ける香川照之演じる仲良しの早代の父親も、決して少年に向かって叱りつけるよう言い方はしません。いい人を演じています。
しかし、切ない映画となっています。
日本のらしさを上手に描いている作品です。
私は、貧しい子供の頃を思い出しました。今の20代の部下達にこんな事を話せば全くの昔話か作り事、または映画の世界と笑われるような、昔を思い出しました。
時代はまさに父親の育った時代設定ですが、自分の子供の頃を思い出しました。
私の家は生活が貧しく、親は大工の父親と近くの町工場で働く母親の共働きの両親です。
父は子供の頃に父親に死に別れ、母が再婚し、遠縁の年取ったおばあさんに預けられ育ちました。母親は、17歳離れた妹と生むと産後のひだちが悪くすぐに無くなった母親の代わりに、17歳で母親代わりとして6人の妹弟を育てました。
そんな両親は結婚しても貧しかったのです。
私は学校から帰ってくると家には誰もいません。カバンをおろすと、学校と正反対の方向1km先にあった保育園へ妹を迎えに行くのが、低学年(1年生、2年生)の私の日課でした。その当時でも兄弟が迎えに来るのは我が家だけでした。
高学年になると、薪を斧で割って、釜のお風呂を沸かすのが私の毎日の役目でした。姉は掃除機をかけていました。
クラスでは、榛葉君と中村さんに次いで3番目に貧乏だと勝手に自分で決めていました。今でもそうだろうと思っています。いつでもお金のかかることでは無理言ってはいけないと思っていました。
着る服は、全てとは言いませんがズボン以外は殆ど母親が縫ったもののような気がします。
貧しいということは、今でも忘れません。子供ながらに心に影を落としていました。
誕生会を開いても、我が家だけ出るものが違っていました。違うけどそれを親には言えませんでした。
なんか、久しぶりに昔を思い出しました。
そしてこの作品での中で何度ども、じいちゃん(中村嘉葎雄)が言う台詞が
「決して他人を恨んではいけない、どんなことがあっても他人を恨んではいけない。恨めば自分がかなしくなる」
主人公草太の仲良し早代の母親(壇レイ)が言う台詞
「冬が寒いのは、人の心が温かいことを忘れないよう、神様が寒い冬を作っただよ」
単純に心を打つのでした。
安い、物語になりそうなストーリーの作品を、中村嘉葎雄、香川照之、岸恵子、浅野忠信、壇レイらが廻りを固め、映画の質を持ち上げています。
また、ハンカチを手に泣いてしまいました。
今回は、ピュアな気持ちになりたい人にお勧めです。
最近、嘘をついてしまった人、勢いで自分を主張して他人を怒らせた人、今振り返ると醜く他人を恨んでしまったこと、などが最近ある人、
もしかして、心が綺麗になれるかもしれません。
映画って本当にいいものです。
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