『おとうと』
監督:山田洋次 主演:吉永小百合
「おとうと」この二人の名前だけで、もう必ず観に行くと決めていました。
劇場ホールは、驚きの混雑、そして劇場内は中高年のご夫婦で一杯、満席でした。
山田洋次監督と言えば、人情的な心打つ映画作品がずらり。
寅さんともかく、 『たそがれ清兵衛』 、 『隠し剣』 、 『学校シリーズ』 はすばらしい作品です。
そこに肩を並べるには、今作品はちょっと力不足と言えるかもしれませんね。
小さい頃から、姉である吟子(吉永小百合)が、出来の悪いおとうとの鉄郎(笑福亭鶴瓶)を女でひとつで育ててきた。と言うお話。
現代では少し考えにくい設定ですが、カトーさんくらいの年齢になるとすんなり入ってくる状況設定です。この辺は私はOKでした。
しかし、出来の悪いおとうとを映像で表現するのは、吟子の娘(蒼井優)の結婚式をはちゃめちゃにする映像だけ。言葉の説明では、万引きして警察に引き取りに行った?とかなんとかの話はでましたが、説得力に欠けていました。回顧録で、けなげにおとうとをかばう子役の姉吟子の姿が欲しかったですね。現代未だに迷惑かけるおとうとと、回顧録の子役の姉のラップが涙を誘うと思うのですが、どうでしょう。
そのような過去の苦労話の中におとうとを思う姉の情が誇大化され、結果として現在末期患者として、終焉を迎えようとするおとうと鉄郎を思う姿を、誇張して描けると思うのですが、・・・・・
私が涙してしまったのは、臨終を迎える末期患者の姿だったかもしれません。
自分ともラップして見てしまうのですが、このような臨終の場こそ見ることは無いのですが、亡くなる直前まで元気だった人が歩けなくなり、車いすになり、ベットから起きあがれなくなり、会話が出来なくなった人達を病院では沢山見送ってきました。つらいこんな思いは、このような劇中の場面では毎回思い出されます。
ともかく
もう少し、姉とおとうとの迷惑かけながらも、繋がっている状態を描いた方がいいと思います。描き方が少なすぎたと言うべきでしょうか。
そのため深く感傷に入り込めませんでした。
普通のいい映画で終わってしまいました。
良い映画ではありますよ。
このあと続いて見てきた 『ゴールデンスランバー』 が娯楽映画としては非常に面白かった。
「深く事件の真相を追求する」という事件の内容の解決!は、置いておいて、逃走劇を面白く描いた内容がよかった。
これは観る映画として娯楽性では評価高そうです。
面白く良くできていました。
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