『告白』
衝撃の映画でした。
なんとコメントすればいいのか、ずっしり重い映画でした。
劇場にいた誰もが同じ思いなんだと思います。
映画が終わり、エンドロールが流れ出して、いつもならだらだらと席を立つ人が、殆どです。場内が明るくなってからやっと席を立つ習慣の我が家ですが、同じような人達はいつも1/3位です。
それが今日は違ってました。
驚きの現象です。
エンドロール中、誰もがその脱力感と、空気の重さに、体が起きあがらないのです。
誰一人、まさに一人も場内明るくなるまで立ち上がる人がいないのです。
館内の異様な雰囲気、この映画の衝撃さを現し、この映画の出来の良さを示しています。
監督:中島哲也
『嫌われ松子の一生』の監督です。この作品の作り方、よく似ていると感じました。
出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生
この映画は、まさに松たか子あっての映画でした。彼女あって、他の女優さんには出来ない主人公でした。
2009年本屋大賞に輝いた、湊かなえ さんの小説を原題のまま映画にしたものです。
自分が担任するクラスの生徒に娘を殺さた中学校の教師が、その復讐をする。事件に関係した人達の告白という形で、真実を私達に明らかにしてく、というストーリー。
子供達の奥に潜む、本当の心理を深くえぐる重いストーリーです。
一般的には、殆ど現実的でない人間心理と思いますが、最近の世情からすると誰もが当事者になりそうな、そんな気にもさせる、怖い内容です。
秋葉原大量殺人事件、スーパーの駐車場から子供を投げ捨てた事件、酒鬼薔薇聖斗事件、精神の微妙な崩れが起こした事件、それらを思い出します。
映画として、展開、映像の妙、すばらしい出来の映画です。
しかし、映画の出来はすばらしいのに、私は「このような映画を作って良いのか」とも思います。
子供達に悪い影響を与えなければ良いのですが・・・
世の中には、誰もが知っているが触れてはいけないことがあります。
精神の微妙、感性の奥深く、そこをえぐることは、今回のように衝撃は与えられます。が、1000人1人位が中島監督の意図しない感じ方をし、さらにそのうちの1000人に1人くらいの子供が、間違った行動を引き起こしてしまう、そのように助長させる映画にならないか心配です。
(家族内では、娘とは意見が違いましたが)
今回の映画で感動はしません。深く考え、感性で感じる映画です。
しかし、この衝撃は劇場でした感じられないでしょう。
誰もがその衝撃に、しばらく立ち上がれない、本当にそんな劇場内でした。
1人で考え込む癖のある人、躁鬱の気のある人、観ない方がいいです。
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