『断熱工法もいろいろ2』
断熱工法の内、昨日は『充填断熱工法』の話を後半に説明しました。
今日は、 『外張り断熱工法』 の話をしてみましょう。
『外張り断熱工法』とは
充填で断熱する方法は初期の頃室内側にシートを張ることが煩わしかったり、コンセント等の部分でしっかり施工しないと、断熱欠損部分が出来たりします。
そこで、断熱材を外壁側に張ることで、それらの問題が解決でき、気密性が確保できる外張り断熱工法が広まったのです。
外張り断熱工法は、材料メーカーなどの豊かな宣伝力を背景に、限定された特殊な工法と思われがちですが、早出はなく誰でも出来るシンプルな工法です。
しかし、大手メーカーなので宣伝により、実際以上に長所が誇張され、欠点が隠されている ように最近よく、雑誌で論じられています。
では メリット は
①熱橋が少ない
外壁に断熱材が張られているため、単純な形の家の場合、殆ど熱橋がありません。(熱橋とは熱が空気を伝わって移動するのでは無くて、柱や梁などの部材を伝導して移動していく、逃げていくことを言います)
②気密が取りやすい
外壁側に断熱材を張るため、コンセント等の部分の気密の補修がいらず、一般的には気密が取りやすい、気密に対する施工がしやすい。
③結露の恐れが少ない
外壁に断熱するため、壁内の温度は高く保たれます、従って壁内結露が起こりにくい
ではデメリット
意外に大きいデメリット
①コストがあがる
どうしても充填断熱工法と比べコストは上がります。同じ省エネ基準値を達成する数値をクリア仕様とするとどうしても、外張り断熱工法はコスト的には不利です。特に外壁材用断熱材は、厚みを薄く押さえるため高価な断熱材を使う必要がでます。
②外壁に厚みが出る。
意外なデメリットです。
そして一番のデメリットとして感じているのが、外壁が垂れる危険があります。
外壁にはる断熱材の限界は50mmがほぼ限界と専門誌には出ていました。それ以上は釘では無理と言うのです。
下の図が垂れ下がる説明となっています。施工後直ぐには下がらず、時期を経て下がるのです。
③外壁材に制約がでる
外壁を重くなるので、仕上げに制約がでます。モルタルを塗ったり、タイルを貼ったりする仕上げは避けた方が良いでしょう。
④窓の納まりと熱橋に注意
外壁が厚くなると、窓のサッシの厚み内に外壁が納まらなかったりします。サッシをスペーサーなどを使い、無理に外部に出す必要が出てきます。
スペーサーが熱橋の原因にもなりがちです。
⑤断熱材が白蟻に弱い物が多い
外張り断熱によく使われる、お押し出しポリスチレンフォームや、硬質ウレタンフォームなどの発泡プラスティック系断熱材は白蟻の食害を受けやすいです。
私的には、住んでいる地区によって工法は選ぶべきだと思います。
ここ静岡も遠州地区では、外張り断熱工法を使う意味は感じられません。
大手メーカーの宣伝で張り断熱工法が、すべての工法に勝るようかのように思い込んでいるお客さんが良くいますが、決してそうではありません。
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