『多数派同調性バイアスと正常性バイアス』
今回の東北地方太平洋沖地震では津波による大規模な災害が発生してしまいました。
今後の被害者の数はうなぎ登りとなり、犠牲者の数は万人単位になることは間違いないと宮城県警が発表しました。
このような多くの犠牲者を出した原因は、津波の飲み込まれた方々が多かったのだろうと言うことは想像に難くありません。
では、どうして毎年訓練しているにもかかわらずこのように速やかな避難をされない方が多かったのでしょうか?
陸前高田での避難の様子を避難誘導する消防団のかたが撮影した映像が度々映像で流されています。
「津波が堤防を越えたぞ~、逃げろ~、駄目だ駄目だ逃げろ!!」
しかし、そこに写っている映像は、押し寄せる遠くに映る津波を見ながら振り返り振り返りゆっくり歩いて避難している人々です。
釜石市で撮影した映像では高台で避難した報道関係者が撮影したものですが、津波が押し寄せているすぐ間近で、ようやく家から出てきて、人々が「逃げろ!!」と高台から叫ぶ中、車に乗り込む姿です。もちろんこのあと津波に飲み込まれたものと思われます。
地震が発生して数十分も経過しているのに、逃げもしないで海沿いの市道を走っている車の多さ。大規模な津波が迫ってきて、たんぼ道などに逃げまどう車、その後津波に飲み込まれていく車、ヘリコプターからの映像です。
これは全て、速やかに津波警報が発令され、広報や同報無線などで避難を大規模に呼びかけている中で起きた出来事です。
「まさかこんな大きな津波が来るなんて」
皆同じ考えだったのでしょう。
これは『正常バイアス』の心理から来るものです。
「正常バイアス」 とはどのようなものでしょうか?
私は以前から人間に心理にこのようなものがあるということを報道で見て知っていました。
私達は自分の廻りの通常の生活は、正常のまま日々が過ごされ、異常な事態は自分には起きないと信じ込んでしまっている、心理です。
または、正常でいようとする安定志向の心理です。
1981年神奈川県平塚市の同報無線で大規模地震による警戒宣言の誤報が流れました。この放送を聞いた約4万人のうち、80%の36,000人が全く無視して行動を取っていたことが後日の調査で分かっています。
まさに 正常バイアスです。
「多数派同調性バイアス」 とは
異常事態が起きているにもかかわらず、1人だけ取り乱したようにあわてて行動出来ない、廻りに行動を合わせてしまう心理状況です。
韓国地下鉄火災事故では、火災の煙が車内に充満してきていても誰も逃げないので、結局みんなが逃げずに冷静に座っている不可解な写真が有名です。
今回避難している人々が誰かが数名を誘って走りながら逃げ出せば、多くの人々はそれに習って走り出したに違いありません。
日頃から大津波は必ず来るとおびえて過ごしていれば、異常事態をすぐに受け入れ高台に誰より先に逃げて助かったに違いありません。10分しか時間が無く倒れた家屋で避難途中に被災した方もいらっしゃるでしょうが、10分もあれば車で高台や、RCビルへ逃げ込むことは出来た人も多いはずです。
まさに、 『まさか』という気持ちです。正常でいたい、異常は自分には簡単に訪れない、という心理が働いていると思います。
「東海沖地震は必ず来ます、耐震補強しましょう。」どれだけ多くの方々に説明して廻っても、真剣に考えている人が少ないのが私の体験です。
災害は必ず訪れます、人間心理を知って、「万が一の対策の行動」を取ることが大切であると知ってもらいたいと思います。
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